犬を飼っていると、心配事の一つに病気があります。
ここでは犬の病気についてまとめています。
犬がかかる基本的な病気について、症状や危険性など、事前に知識を付けておきましょう。
犬ジステンパーとは
犬ジステンパーは、ニホンオオカミを絶滅させたウイルスとして有名で、現在でも犬の重要な感染症の1つとして挙げられています。
症状としては、発熱や食欲不振等の風邪とよく似た症状から始まり、感染から1週間程経過すると元気が無くなり、結膜炎や角膜炎等の症状と、嘔吐や腹痛、下痢や血便、せきやくしゃみ等が見られます。
重症化してしまうと、体の広範囲でけいれんが見られるチック症状や下半身麻痺、てんかん様発作や無意味な暴走等のジステンパー性神経症状が現れます。
犬ジステンパーには有効な治療薬が無い為、予防と感染拡大を防ぐ方法が基本になります。
予防接種は、生後約2ヶ月から4ヵ月の間に2回か3回を、3週間から4週間の間隔を空けて接種し、その後は年に1回の追加接種が基本的な間隔と回数になります。
飼い犬の体調や、飼い主の予防接種に対する考え等もあると思うので、獣医と相談をしてから接種回数と間隔は計画するようにしましょう。
基本的なことですが、犬の体調が良くない時は、無理に接種させずに延期させるようにしましょう。
パルボウイルスとは
パルボウイルスは、犬にのみ感染するものと猫にのみ感染するもの等多数存在しており、犬のみに感染するのを犬パルボウイルスといいます。
犬パルボウイルスには「CPV1型」、「CPV2型」、「CPV2-a型」、「CPV2-b型」という種類があり、その中でも、消化器系の症状を示すものを「腸炎型」、呼吸や循環器系の症状を示すものを「心筋炎型」と分けています。
症状は、腸炎型の場合、激しい嘔吐や下痢、粘液便や血便や脱水症状等で、生後6週から16週頃の仔犬が感染しやすく、発症してから2日以内に90%以上の確率で死亡します。
心筋炎型の場合は、悲鳴や嘔吐、呼吸困難や息切れ等の症状が現れ、生後2週から8週頃になって、突然呼吸困難や脱水症状を起こし、心筋炎を起こして死亡します。
犬パルボウイルスには有効な治療薬が無い為、症状をコントロールし、可能な限り快適にさせることが大事になります。
多くの場合は入院が必要となりますが、併せて感染拡大を防ぐ方法が取られます。
予防接種は、生後約2ヶ月から4ヵ月の間に2回か3回を、3週間から4週間の間隔を空けて接種し、その後は年に1回の追加接種が基本的な間隔と回数になります。
犬伝染性肝炎とは
犬伝染性肝炎は、犬アデノウイルスⅠ型によって引き起こされる感染症で、特に1歳以下の犬の場合致死率が高く、成犬では、ウイルスに感染しているが症状が出ない状態の不顕性感染を示すことが多いという特徴があります。
症状としては、数時間前まで元気に過ごしていた子犬が、急に腹痛を起こし12時間から24時間以内に死亡する「突然致死型」、食欲不振や鼻水、発熱等の軽い症状を示す「軽症型」、元気が無くなり、鼻水や涙、40℃以上の高熱や食欲不振、下痢や嘔吐、水を大量に飲んだりお腹を触ると痛がったりする症状が現れる「重症型」、先に紹介した「不顕性型」の4種類があります。
犬アデノウイルスⅠ型に対して有効な治療薬が無い為、症状自体をコントロールすることと、安静にすることが基本的な治療法になります。
その為、感染する前の予防接種が最も有効な対策と考えられます。
予防接種は、生後約2ヶ月から4ヵ月の間に2回か3回を、3週間から4週間の間隔を空けて接種し、その後は年に1回の追加接種が基本的な間隔と回数になります。
犬伝染性喉頭気管炎とは
犬伝染性喉頭気管炎は、ケンネルコフとも呼ばれ、様々なウイルスや細菌等の複合感染を原因とする伝染性の強い呼吸器疾患の1つです。
主な病原体は、犬アデノウイルⅡ型、犬パラインフルエンザウイルス、犬ヘルペスウイルス、気管支敗血症菌、マイコプラズマ等が挙げられます。
これらの病原体が、単独あるいは混合した状態で感染することで発症します。
症状は、短く乾いた痰を含まない咳、興奮したり運動したり気温の変化で咳が悪化する、微熱や食欲不振、膿を含んだ鼻汁や肺炎が挙げられます。
免疫力が正常な成犬であれば、通常2週間程度で自然治癒しますが、免疫力が不十分な6週から6ヶ月の仔犬は重症化しやすいのが特徴です。
ウイルスに有効な治療薬がない為、症状自体を治療する方法で回復を目指します。
その為、犬の症状によって治療方法は異なります。
感染する前の予防接種が、この感染症から犬を守る有効な手段なので、生後約2ヶ月から4ヵ月の間に2回か3回を、3週間から4週間の間隔を空けて接種し、その後は年に1回の追加接種を受けさせるようにしましょう。
犬パラインフルエンザとは
犬パラインフルエンザウイルス感染症は、パラインフルエンザウイルス(CPIV)によって起こる呼吸器症状を特徴とするウイルス性の感染症です。
犬パラインフルエンザウイルス感染症に感染した犬の咳やくしゃみ等で飛沫感染します。
症状は、咳や鼻水が出たり、発熱、元気や食欲の低下が見られたり等、風邪同様の症状が現れます。
一般的には、この病気だけの単独感染の場合は症状が軽いとされていますが、他のウイルスや細菌等の病原体と混合感染すると症状が重くなる場合があります。
特に、犬アデノウイルス2型や、ボルデテラ・ブロンキセプチカ等との混合感染は、「ケンネルコフ」と呼ばれ、集団飼育されているような場所では問題になっています。
有効な治療薬がない為、咳等の症状を緩和させる為の吸入治療や投薬、二次感染の予防対策として抗生物質投与等の対症療法が行われます。
感染症から犬を守る有効な手段である予防接種で、愛犬の健康を守りましょう。
接種間隔と回数は、生後約2ヶ月から4ヵ月の間に2回か3回を、3週間から4週間の間隔を空けて接種し、その後は年に1回の追加接種になるので、是非受けさせるようにしましょう。
犬コロナウイルス感染症とは
犬コロナウイルス感染症は、犬コロナウイルス(CCV)によって引き起こされるウイルス性の感染症です。
犬パルボウイルス感染症のように重篤になることは少なく、成犬が犬コロナウイルスに感染しても症状の出ない不顕性感染で終わることもあります。
子犬が感染した場合は、下痢や嘔吐、元気がなくなり食欲減退等の症状が現れ、激しい胃腸炎を起こし、便はオレンジ色がかった粥状の便で悪臭を放ち、血便になることもあり、最悪の場合死に至ることもある恐ろしい感染症です。
また、犬コロナウイルス感染症は犬パルボウイルス感染症と混合感染することが多く、そうなると重篤な症状となって死亡する危険性が高まります。
治療方法としては、下痢や嘔吐等の症状が激しい場合は、脱水症状緩和の為の点滴や、二次感染予防の為に抗生物質投与等の対症療法が基本です。
場合によっては、下痢や嘔吐を抑える薬を使用することもあります。
感染症には予防接種が有効と言われています。
時期になったら獣医と相談し接種させるようにしましょう。
犬レプトスピラ病黄疸出血型とは
犬レプトスピラ病黄疸出血型(コペンハーゲニー型) は、人間に感染すると「ワイル病」と呼ばれることで知られている感染症です。
感染経路は、レプトスピラ菌(L.イクテロヘモラジー)を保菌するネズミ等の野生生物の排泄物等による経鼻・経口感染で、腎臓や肝臓に影響を及ぼします。
人間をはじめとした多くの哺乳類に感染・発症する共通感染症です。
症状は、感染から3日から14日間の潜伏期間後、急性の発熱や頭痛を伴う風邪のような症状が現れて、その他にも黄疸や歯茎からの出血、発熱や嘔吐、下痢等を起こし、急性型では数時間から数日で死亡する場合もあります。
治療方法としては、レプトスピラ菌に対して有効なペニシリンやストレプトマイシン等の抗生物質が使用され、症状がひどい場合は症状を軽減させる為の対処療法も併せて行います。
感染経路が比較的広く、感染する確率が高い感染症なので、感染してしまう前に7種混合ワクチンで予防することをお勧めします。
犬レプトスピラ病カニコーラ型とは
犬レプトスピラカニコーラ型は、レプトスピラ菌(L.カニコーラ)に感染する事によって人間や犬を含めた哺乳動物に伝染していく伝染病で、重篤な症状を引き起こすことで恐れられています。
レプトスピラ菌を保菌しているネズミ等の動物の排泄物等によって、経鼻や経口感染します。
症状として急性症タイプは、嘔吐や脱水、ぐったりした状態や血便が見られることもあります。
死亡率が高く、症状が出てから36時間から4日で死亡してしまうケースがあります。
病状が比較的ゆっくり進む亜急性タイプでは、腎臓が侵され、体温が上昇して元気がなくなり、嘔吐や血便が見られます。
重症例になると、昏睡状態から死亡に至る場合もあります。
治療方法としては、腎炎の程度によって尿毒症を起こし死亡することがあるので、レプトスピラ菌に対して効力を持つ抗生物質が使用され、急性腎不全や肝障害等が見られる場合は、その症状に対しての対処療法も平行して行う場合が多いです。
アウトドアでの活動が多い犬の場合、感染する確率は比較的高くなるので、感染する前の予防接種で感染しないようにすることが大事になってきます。
犬レプトスピラ病へブドマディス とは
犬レプトスピラ病ヘブドマディス型は、レプトスピラ菌(ヘブドマディス株)を保菌するネズミとの接触が原因で感染する病気です。
最大の感染源であるネズミは、レプトスピラ菌(ヘブドマディス株)を保菌しているものの発症しません。
ネズミとの接触、ネズミの尿や、尿の溶けた水を飲んでも感染するので、犬の行動範囲内のネズミの存在は気になる所です。
感染した犬との直接接触でも感染します。
何の症状も出ない「不顕性型」が多いので、保菌した状態での尿の処理には十分な注意が必要になります。
主な症状として、黄疸や元気が無くなる、発熱や嘔吐、下痢や血便、尿が出なくなるか、臭いの強い尿が出る場合があります。
脱水症状で死に至る場合もあり、回復したとしても慢性の腎炎になる可能性があります。
治療方法は、抗菌薬の投与が有効ですが、急性腎不全や肝障害がある場合は、その症状に対しての対処療法も併せて行われます。
重症化すると命を奪いかねない病気なので、前もって予防接種を受けさせるようにしましょう。
犬を飼っていると可愛いだけが先行しがち。
でも、狂犬病など、犬には怖い病気があります。
狂犬病は人にも感染するので、要注意!
狂犬病予防のワクチン接種について知っていきましょう。
狂犬病とは
犬、又は人間にもかかることで知名度が高い感染症として「狂犬病」が挙げられます。
日本では、狂犬病予防法によって、犬の飼い主には毎年1回の狂犬病予防注射接種が義務付けられているくらい重要視されています。
狂犬病とは、狂犬病ウイルスに感染することで発症する病気で、人獣共通感染症であり、人を含めたすべての哺乳類が感染する可能性があります。
この狂犬病は、致死率がほぼ100%と言われている恐ろしい感染症なのです。
狂犬病にかかるとどうなるの?
狂犬病にかかると現れる症状としては、以下の通り。
狂犬病・前駆期
「前駆期」と呼ばれる初期段階では、不安や異常行動、食欲不振等が現れます。
狂犬病・狂騒期
「狂騒期」の段階で、むやみに歩き回ったり地面を無意味に掘ったり、狼のような特徴的な遠吠えをし、非常に攻撃的になったり、顔が凶暴になりキツネ目になる、また水を極端に怖れる等の症状が現れます。
狂犬病・麻痺期
最後は「麻痺期」で大量のヨダレを流したり、足腰が立たなくなったりする症状が現れ、最終的には衰弱して死に至る病気です。
狂犬病ワクチンの現状
狂犬病の予防接種は、他のワクチンと違って接種義務があります。
しかし、最近の犬の飼い主の話にたまに出てくるのが、ワクチン接種は犬の寿命を減らすから、ワクチン接種はしていないというもの。
予防接種してないけど大丈夫だよという話を又聞きで聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?
ワクチンなどの接種は、犬の体に負担をかけるから、愛犬には受けさせたくないというのが、飼い主の気持ちなのでしょう。
しかし、狂犬病は犬がかかれば大変な状況になります。
更には人にも感染する病気であるため、接種義務ができているというのが現状のようです。
犬の寿命とワクチン接種に関しては、しっかりとしたデータは出ていないのか、見当たらないのかはわかりませんが、現状接種義務があるものなので、義務を果たして犬を飼うのが推奨されます。