犬のしつけの基本として犬の本能を知りましょう。
犬のしつけをする前に、犬の本能について簡単にでも知っておくことで、犬のしつけがかなり楽になります。
そしてしつけについての考え方も理解できるようになるので、犬のしつけの基本を知るのに役立ちます。
ただ闇雲に犬をしつけても上手く行かないので、この犬の本能を理解することが犬のしつけを成功させる基本になると言えるでしょう。
では、どうぞ。
犬のしつけの基本となる3つの本能とは
まずは犬のしつけの基本となる犬の本能を3つ理解してください。
犬の種類問わず、全ての犬のしつけに大いに役立つ知識になります。
1. 群生本能
2. 権勢本能
3. 服従本能
この3つの本能を覚えておくと、犬の気持ちが格段に理解しやすなりますね。
では、この犬の本能をそれぞれ解説し、犬のしつけにどう影響するのかを見ていきましょう。
群生本能と犬のしつけ
それでは、3つの本能の1番目、群生本能を知っていきましょう。
群生本能とは、犬が群れで生活したがる本能のこと。
そして犬の社会は縦社会そして主従関係が基本です。
上下関係がある群れで生活するのが犬の基本スタイルということですね。
群生本能を基本に犬のしつけを考えてみると、飼い主やその家族と犬という群れの生活という考え方になります。
ここで飼い主が、「人と犬が平等だ」とこだわったり、甘えさせ続けるなどした場合、犬にとっては上下関係の勘違いの元となり、問題行動が頻発します。
これがしつが上手くいかない原因の一つです。
この法則に従って犬をしつけないと、いくらトイレや噛み癖や無駄吠えなどをしつけようと思っても上手くいかないということになります。
犬の上下関係では、下の者の言うことは聞かないからです。
特に柴犬などはこの傾向が強い犬で、主人とその他を区別して接してくる犬とも言われていますね。
犬の気持ちを考えるというのは、人のように扱うということではなく、犬の本能を理解したうえで接することが犬にとっても快適だという考え方をまずは取り入れてみると、犬のしつけの悩みがとても解消しやすいと言えるでしょう。
なので、飼い主であるあなたが、リーダーとなり、縦社会の主従関係を作って犬をしつけていくことを念頭に置いて愛犬をしつけていきましょう。
権勢本能と犬のしつけ
次に犬のしつけの鍵となる犬の本能の2番めのポイントである権勢本能について知っていきましょう。
権勢本能とは、犬が群れの中でリーダーになろうとする本能のこと。
犬のしつけの本などを読んだ方も多いと思いますが、大抵の本にリーダーという言葉が出てきます。
これは権勢本能を元に考えてみると犬のしつけをよく理解できます。
では、犬の問題行動の原因は何かを、この権勢本能で考えてみましょう。
犬の問題行動の大きなポイントの一つに、リーダーを認めていないからという原因があります。
飼い主がリーダーだと認められていなければいくらしつけをしても従わないわけです。
この原因が犬の権勢本能です。
会社でも部下が上司に指示しても上司は言うことを聞かないでしょう。
上司が部下に指示をすれば、聞くのが当然です。
更に信頼が高ければ高いほど素直に聞くし、嬉しいものです。
犬から見て飼い主が頼りがいのあるリーダーであれば犬の生活は安泰ですよね。
頼りないリーダーなら、不満が出て、自分リーダーになろうとします。
会社の上司や部下、戦国時代の下剋上のような性質が犬にはあるということです。
これが権勢本能というわけです。
大抵、犬を飼っていてしつけが上手く行っていっていない場合、甘やかしすぎている事が多いのです。
犬を飼う場合、甘やかし過ぎると犬自身がリーダーだと勘違いし、上下関係で飼い主を下に位置づけます。
これが多くの問題行動を生む原因の2つ目ということです。
服従本能と犬のしつけ
最後に3つ目の犬の本能である服従本能についてしりましょう。
服従本能とは、犬がリーダーに従いたくなる本能
この服従本能は権勢本能の反対ですね。
なので、飼い主がリーダーシップを発揮していれば、犬が服従本能によって、しつけされやすくなるという事です。
何度しつけをしても愛犬が吠えるとか、飛びついてくるとか、散歩で興奮しすぎるなど、この服従本能が発揮されている状態であれば、言うことをきいていくようになるわけです。
同じようにしつけをしても犬側に権勢本能が発揮されていればしつけも難しいということですね。
これが犬の本能の3つ目のポイントです。
犬の本能としつけの基本 まとめ
今回学んだ犬の本能としつけの基本をまとめてみましょう。
群生本能・・・犬は群れで行動する
権勢本能・・・犬は群れでリーダーになろうとする
服従本能・・・犬はリーダーに従う
そしてもう少し噛み砕いて犬のしつけのポイントをまとめると
犬は群れという縦社会で、主従関係を重んじる
犬は頼りがいのあるリーダーを求めている
本能を無視したしつけは上手くいかない
ということが犬のしつけの基本になります。
これを知った上で、次のことをやってみましょう。
犬のしつけは、無視も大切
犬のしつけをする際に、無視をする事も意外に重要なしつけ方法となります。
ここでは
無視による犬のしつけ仕方
について解説します。
犬をしつける場合の無視の仕方とは?
犬は、躾によって従順にも暴れん坊にもなります。
これは、権勢本能のリーダーを求めるという犬の性質によるものを考えるとわかると思います。
ペットとして飼い始めた犬と、良好な関係を築く為に必要な躾は、素人ではなかなか難しいものです。
犬のしつけには、声を使った合図や、身振り手振りでサインを出したりして行うものがしつけだと思われがちですが、その中でも、何もしない「無視」という方法が有効な場合があります。
無視をすると可哀想だと感じる飼い主も多いと思いますが、これも必要なこと。
甘やかしてばかりいると、犬に主従関係を逆転されてしまうからです。
主従関係が逆転すると、犬が自分の権勢本能により、飼い主をリーダーと認めず、何かと問題行動が発生する原因になってしまうことがあるので注意してください。
では、犬に対しての有効な無視のタイミングとはどのようなものなのでしょうか?
しつけで犬を無視するタイミングとは?
例えば噛み癖がある犬に対して、噛んだら無視するという方法を取ってみましょう。
また、犬はかまって欲しくて、吠えたり暴れたりする事もあります。
このような場合も、甘やかしてすぐに犬に近寄るのではなく、無視を続けてみましょう。
本来群れで行動する犬は、無視されることを嫌います。
飼い主に無視される事で、吠えればきてくれる、暴れれば抱っこしてもらえる、近づけばなでてもらえるという、其の犬の中の悪いパターンを壊すことが重要です。
このような事を繰り返していると、犬も次のように考え始めます。
自分のどの行動で無視されたのか?
例えば噛んだことで無視されたと気付くと、噛むことを止めるようになります。
吠えても無視され続ければあきらめるようになります。
暴れて何の反応もなければ自然とやめていくのです。
どのくらい無視を続ければいいのか?
では次に、どのくらい愛犬を無視し続ければいいのか?という話です。
加減が難しい所ですが、例で挙げたように噛まなくなるまでど、問題行動をしなくなるまで無視を続けることが基本です。
かといって、1日中完璧に無視をしてしまうと生活できなくなってしまいますね。
通常の世話の中で噛む行動が出たら、しばらく無視する程度にするなど、その辺りのしつけの仕方は犬の状態を見ながらやりましょう。
愛犬も感情のある動物なので、まずは愛犬の状態をみて、しつけをする。
これが大切なことを忘れずにやってみてください。
犬がどういう行動を取ったら飼い主に無視されるのか?
ということを気付かせる程度の無視は、躾にとても有効なので、ぜひ試してみてくださいね。
分離不安と犬のしつけ
犬を無視するしつけ方の話の理解を深めるのが分離不安症という犬の心理です。
これも犬のしつけの大きなポイントになり、お留守番や各種問題行動へと繋がっていく要因になるものなので、犬のしつけには欠かせない基本です。
犬のしつけをする場合、問題行動といわれるものの裏には心理的な原因があります。
その代表的なものの一つが分離不安です。
分離不安とは飼い主と分離して不安になること。
分離とは読んで字のごとく、分かれる・離れるということですね。
つまり、飼い主と分かれて不安になる症状で、いろいろな問題行動を引き起こしていきます。
これは、犬の本能である群生本能と関係があります。
群れで生きたい本能である群生本能は、群れから分離された状態になると不安になるということです。
分離不安からの問題行動をもう少しわかりやすく、犬の気持ちになって考えてみましょう。
犬は不安やストレスからものを噛み壊したり排泄や散らかしなど、飼い主が嫌がる行動を取ると考えるわけです。
しかし、必ずしも分離不安が原因で問題行動を起こしているわけでもないので、一つの知識として知っておき、何が原因になって問題行動につながっているかを考えていくのが良いですね。
飼い主と犬の関係は依存関係ではダメということは多くの飼い主が意識すべきポイントだと思います。
ここで覚えておくべきポイントは、犬が飼い主に依存していると飼い主がいない状態に耐えられず、不安になって問題行動を起こす事があるということです。
分離不安による問題行動パターン
分離不安をもう少し具体的に見ていきましょう。
分離不安状態では、どのような問題行動が起きるのでしょうか?
代表的なものを知っておきましょう。
分離不安での代表的な問題行動
無駄吠え
1. かじり壊す
2. なめ続ける
3. 攻撃的になる
4. うろうろする
5. 嘔吐・下痢・便秘の症状
6. 排便・排尿を所構わずする
このようなサインが出たら、愛犬が分離不安症になっていないかを考えてみるとこのような問題行動を解決する糸口がつかめます。
犬の気持ちを知って、それに合わせたしつけをしていくということですね。
分離不安の改善習慣
分離不安を改善するには日頃の生活での犬との接し方の習慣が大切になります。
生活習慣病のようなものなので、普段からの接し方・生活の仕方で、分離不安を改善できます。
具体的に例を挙げるので、参考にして犬に対する接し方の習慣を変えていきましょう。
分離不安を改善する習慣
1. 主従関係の適正化
飼い主がリーダーとなり、主導権を持って生活します。
ただし依存しないようにしていく事を注意してください。
犬が依存すれば分離不安になりやすいので注意しましょう。
2. 出かけるふり
お留守番できない犬をしつけ場合、出かけるふりなどをすることで、犬が飼い主の外出を予期して不安になるという学習パターンを変えていきます。
出かけるふりをして、愛犬の様子をみたり、出かけている時間を伸ばしていくことで、愛犬が不安にならない時間をトレーニングしていきます。
2. そのまま出かける
また、出かける前も犬と関わらず、そのまま出かける事もポイントです。
出かける前に必要以上に構うと、分離不安を煽ることに繋がるので、意識して見てください。
3. 必要以上に犬を構わない
帰宅時に犬が飛びついてきたり、はしゃぎまわっても必要以上に構わないことです
愛犬が嬉しそうにお出迎えしてくれると、その可愛さからとても可愛がってしまいがちですが、分離不安の傾向がある犬の場合には、徐々に淡白なコミュニケーションへ移行したり、適正な距離感を取っていくことをおすすめしています。
4. むやみに叱らない
犬がものを散らかしたり、オシッコを失敗するなどしても叱らずに片付ける事も大切です。
これらの問題行動は色々な原因があるので、一概にはいえませんが、分離不安のストレスから構って欲しい主張の表れの場合もあります。
そのような傾向がある犬の場合は、叱らない事も大切です。
このようなことで、まずは犬の分離不安を改善していきましょう。
ここまで読んでいただいた方は、「犬を無視するしつけ」と「分離不安」をセットで考えてみるとわかりやすいと思います。
どちらも飼い主と犬との心理的距離が不適切な問題と言え、問題行動としつけの重要なポイントになっています。
そして、これらはこのページで最初に読んでいただいた、本能から考えるとわかりやすいですが、その前にもう一つ、犬の習性について知ってみてください。
今まで学んでいただいた知識が、実用的になりつつ、繋がってくると思います。
犬の習性をしつけで改善する
犬をしつけるために犬の本能を知っていただきましたが、次は犬の習性を知りましょう。
本能と習性を知ることで、犬のしつけが抜群に楽になります。
犬のしつけを考えてみると最も重要なものは、問題行動をやめさせること。
問題行動とは、人が嫌がる犬の習性がポイントになります。
その問題行動は犬の本能を理解していると、原因がわかりやすいのは今まで読んでいただいたことでわかると思います。
本能からくる問題行動ですが、犬にとって何の問題でもないこともあるのです。
犬は何も考えずにやっている習性が、人にとっては迷惑。
例えば犬と人ではきれい・汚いの衛生感覚も違うことや、犬は食糞やトイレ以外での排泄、物を噛む、散らかす、遊びまわるなど、犬の常識と人の常識が違うことで、人だけが一方的に問題行動だとしている部分があるのです。
犬の本能の部分は、問題行動に攻撃性やストレス、飼い主への主張などが生まれていましたが、犬の習性にはこれらが無いことが分かるでしょう。
本能といえば本能からくる行動ですが、ここでは区別し、わかりやすく覚えていただくために犬の習性として解説していきます。
この犬の習性を上手くしつけによって、人と共生できるようにしていくというのが犬のしつけのポイントになるので、ぜひ知ってみてください。
では、犬の習性としつけ方を見ていきましょう。
犬のしつけ・犬の気持ちと習性
犬の問題行動というのは、人と暮らすのにあたって問題というだけで、犬にとっては普通のこと。
しつけというのは、そのような犬の気持ちや習性を理解することから始めないと、無理やり人間に服従させてしまうことになりかねません。
なので犬の気持ちや習性を理解していくことが必要です。
犬の問題行動も犬にとっては普通のことという理解を持ってしつけをしていくのが大前提になります。
犬の習性と問題行動
よくある犬の行動として以下のものがあります。
どこにでもマーキングする
犬は人・場所・犬などにもマーキングします。
汚物も食べる
周囲にあるものは食べることが普通で、他の動物の便や吐瀉物なども普通に食べるのが犬です。
感情的である
群れでの生活経験がなく、主従関係が無ければ食べ物やおもちゃも独り占めしたり、吠えたり嫉妬したり怒ったりが露骨に出ます。
汚いという基準が人と違う
人が嫌うニオイなども犬は好み、普通に寝っ転がったりします。
このように犬にとって一般的な行動は、人にとって不快なものが多く、人間社会で共生していくためには、しつけが必要になってくるわけですね。
犬の問題行動を改善するしつけの基本
犬の問題行動というものは、犬の習性が関係していることが多く、犬が普通だと思ってやっているものなので、そこを理解し、それをさせないようにしつけをしていきましょう。
ではどうすればいいのでしょうか?
基本的には次の2点でしつけていきます。
1. 犬が良い行動をしたら褒めること
2. 犬が悪いことをしなかったら褒めること
このように犬の気持ちを考えてコミュニケーションを取っていくことです。
そして科学的な面で言えば、このようにして犬を条件付けしていき、人との暮らしを楽しめるように犬をしつけてあげることが大切ということですね。
犬の習性でやってしまうことを、人は褒めることで学習させていくというのが、しつけの基本の一つです。
愛犬の行動で直したいものを一つずつ、直していくことで、犬が人と仲良くなる実感が持てるでしょう。
犬のしつけまとめ
犬のしつけについて、犬の本能から無視という基本的なものを学んでいただきました。
犬のしつけを行うには、この基本部分が大切で、これを知らずに犬のしつけ教室や犬のしつけ本などを実践してみても、なかなか上手くいかないのです。
犬のしつけが上手くいかない時にこの基本ができているかをチェックしてみてください。
最後にまとめを書いておきますので、ぜひ、活用してみてください。
群生本能
犬は群で行動する習性があり、一人になると分離不安などから問題行動を起こしがちになります。
また、権勢本能や服従本能があるので、犬は飼い主との上下関係(主従関係)でわがままにも、従順にもなります。
問題行動を起こしやすいのは、主従関係の逆転で、犬が飼い主より上だと思っている場合。
しかし、服従している状態でも、群生本能があるので、寂しさや不安、思い通りに行かないストレスなどから、問題行動を起こすこともあります。
つまり、飼い主が群れのリーダーとなり、権勢本能を上手くコントロールして、服従本能を満たしてあげることです。
そして、群生本能を理解しつつ、一人でも不安にならないよう、分離不安症を理解した上で犬のしつけをしていく事が基本と言えるでしょう。
そのために無視をするしつけなどを行い、犬と飼い主の適切な距離、主従関係を作っていくことが、飼い主と愛犬との日常生活のベースになります。
その日常生活で起きる愛犬の問題行動に対して、犬の習性を理解したうえで具体的なしつけを行っていきます。
犬をしつける以前に、犬を理解すること。
そして、良い行動をしたら褒め、悪い行動をしなかったらやはり褒めてあげることで、犬が行動の良し悪しを理解できるように接し、条件付けしていきます。
行動科学などでもそうですが、適切なことを続けさせ、不適切なことは適切な行動へと修正していきます。
そのために必要なものが飼い主と愛犬との間にできる信頼なのです。
信頼関係を高め、行動を適切にし、継続していくしつけで何をやればいいのかというと、適切な行動時に褒めることや認めることが基本です。
そして、この信頼関係やしつけの根本は愛犬への愛情だと思っています。
犬の本能や習性に従ったしつけの法則を守って、愛情を与えるほどに信頼関係が生まれ、愛犬が適切な行動を取るようになります。
日常生活で起きる問題行動が解消されるので、愛犬との快適な時間が増え、とても楽しい毎日になる事でしょう。
群生本能から、行動科学、愛情までをまとめ、犬のしつけをまとめてみました。
犬のしつけが上手く行かない時は、このページヘ戻り何度も読み返して理解を深め、チェックしてみてください。